介護なしの老後を目指す ~認知症予防・筋力の維持~

海外留学の経験や旅行についても書いてます。

※誰も教えてくれない※流してはいけない認知症の方のメッセージ

 

 

 介護生活にならないための情報メインですが、今回は介護する側として知っておくべき視点をご紹介いたします。

 

 

今までの経験上、急性期病院にいる時は認知症の方と一緒にいる時はなるべく楽しく過ごせるように話す事を意識してたかなぁって感じで認知症がある方と関わっていました。なので、発した言葉がつじつまの合わない事でも共感して流していたところが多かったです。

 

訪問に移ってからは軽度認知症の方が多かったので、どの程度認知機能が残存しているのか、どういうインプットのさせ方をしたら記憶に残るか…など残存しているところを活かしてどのように生活に繋げようかと考えていました。

 

 

だけどその対応では足りないと気付きました。

 

そして海外生活を経て、認知症について学び直して今まで気づいていなかった点に気が付きました。

 

 

それが

つじつまの合わない会話についてです。

 

 

ここで一つ頭に入れておいてほしいのは認知症の中核症状である失語です。

 

失語についての著名人のエピソード

失語の症状の一つに、相手の言っている事を理解しているけど、自分が話そうと思ったら言葉が出てこなかったりすることがあります。

 

認知症を若くして発症したクリスティーン・ブライデンさんという方がいます。その方は「認知症になったからと言って何も覚えていないわけじゃない。」と認知症になった立場からいろいろな事を発信されています。その中の1つに、

 

「鍋が沸騰しているから、火から降ろして!」

と言おうとした際にとっさに、

「バナナのようになっていくわ!」

 

と言ってしまったようです。

 

 

 

認知症とともに生きる私 : 「絶望」を「希望」に変えた20年

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一見笑い話のようにも見えますが、すごく大事なメッセージだと思います。

 

状況は理解しているのに、状況にあった言葉が出てこないんです。

 

それって、つじつまの合わない発言を繰り返してしまう方と似たような状況ではないですか?

 

 

私自身の疑似失語経験

失語になった事は無いですが、似たような経験を少し話します。

 

 

2018年から1年間ドイツに介護保険について勉強をしに行ってきました。

英語なんて今までろくに勉強してこなかったうえに、ドイツ語なんて初めて聞く言葉です。ダンケシェーンがドイツ語なんて選択問題のクイズで出たら分かったのかもしれないけど、ドイツ語のありがとうと言ったらダンケシェーンなんて考えたこともなかったです。

 

そんな状況でしたが、勉強に時間を費やすよりも思った時にすぐ行ってしまうスピーディさを求めてすぐに出国してしまったため、大変な思いをしました。

 

 

pt-germany.hatenablog.com

 

 

 

それでもいろいろな国の方と話す機会は得られました。

 

そこで頭の中ではこれを伝えたいという気持ちはあるのに、英語もしくはドイツ語で単語が出てこなくて伝えられない事がしょっちゅうあったんです。

 

 

そういう時って話しかけてくれたのに何も返せなくて、すごく焦るんです。

何も言葉が出せないのも無視したようになってしまうので、日本語を出したりしちゃってました… 相手が理解できないと分かっていながら。

 

 

これって質問に対してつじつまの合わない事を言ってしまう認知症の方と重なる所があるのではないでしょうか?

 

だんだん気持ちばっか焦ってしまって結局相手が気を使って「また思い出したら言って」と言ってくれたりしてほっとするけど、また次話しかけられたら怖いなぁ…とだんだん委縮してしまう気持ちもあるんです。

 

語学ならまだ勉強中という事で伸びしろを考え耐えられますが、認知症の方が、もしも年取って老いた結果言葉が出なくなったと認識していたら、また話しかけようなんて気持ちにならないですよね。次はもっと言葉がでないかもしれないと思ってしまっているかもしれない。

 

そうやって自信を失って、人との交流もとらなくなったら認知症はあっという間に進行します。

 

 

つじつまの合わない発言が必ずしもこのような流れで起こっているとは限りません。

 

逆に聞き取りが上手くできてないけどなんとなくニュアンスで分かった時とかは返事はするけど返答は全然違う事を言ってしまったりすることもあるので、状況や人によってさまざまかと思います。

 

 

つじつまの合わない会話をする認知症の方の接し方で大事な事

私も言語ですごくつらい経験をしました。

その経験を経て、認知症の方の接し方が大きく変わりました。

 

認知症の方と話すときに

「もしかしたら訴えたい事があるのに伝えられないのかもしれない」と思うだけで、接し方は大きく変わるかと思います。

 

週1回行っている施設では前任スタッフから、指示がほとんど入らないと申し送りを受けた認知症の方がいました。

 

 

つじつまの合わない事を言ってしまって指示動作が行えない場面が多数ありました。しかし、こちらの言い方を変えるだけで段違いに指示が入りやすくなりました。この方の場合指示が入らなかったのではなく、指示内容を理解しづらかったのだと気付きました。

 

そして「この人は間違った事を言っても理解しようとしてくれる」と思ってもらえたら、話しかけやすさが各段に上がると思いませんか?

(今、私のオンライン英会話がそんな感じです(笑))

 

それを介護スタッフに同じようにやってというのは難しい事かもしれません。一人当たりにかけられる時間が全然違うので。

 

 

ただ、そのような事を意識して介護を行えると自分のみえる景色も変わり、何より利用者さん・入居者さんの人生が大きく変わると思います。

 

 

先ほども言いましたが、一概にこれが原因とは思いませんが頭の片隅に入れておくだけで変えられる対応もあるのではないかと思います。

 

 

これは、私自信教わる事はなかったし(もしかしたら忘れた?)、聞いていたとしても経験していないとただのきれいごととして流してしまった事かもしれません。

 

 

失語(に近い状態)を経験したからこそ、感じる認知症の方への対応かと思います。

 

 

どこかで誰かの参考になれば幸いです。

 

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